HOME > 学習会 > 学習会5「住岡英毅さんの講演」
住岡英毅さん(教育学者)に講演いただきました。
                          (於:明日都ふれあいプラザ 2015年10月3日)
公教育のなかの図書館機能を考える

1 公教育と教育法制
2 教育法制と図書館
3「新しい公共」と図書館機能の拡張

講演会終了後に感想をお聞きしました
はじめに 生涯学習社会における図書館
          ―期待される多様な機能―
1 公教育と教育法制
(1)教育の基本に関するもの
「日本国憲法」と「教育基本法」が挙げられる。
「日本国憲法」は、第26条の教育条項(@すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 Aすべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする)のほか、教育の目的(「教育基本法」前文・1条)との関連において憲法前文および9条の平和主義、宗教教育との関連において憲法20条および89条の信教の自由と政教分離原則)などを含んでいる。
「教育基本法」は、こうした「日本国憲法」の教育条項に基づいて、教育の目的、教育の目標、生涯学習の理念、教育の機会均等、義務教育、学校教育、大学、私立学校、教員、家庭教育、幼児期の教育、社会教育、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力、宗教教育、教育行政、教育振興計画などについて定めている。
(2)学校教育に関するもの
「学校教育法」(1947)、「私立学校法」(1949)、「産業教育振興法」(1951)、「学校図書館法」(1953)、「理科教育振興法」(1953)、「学校給食法」(1954)、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」(1963)などがある。
(3)社会教育に関するもの
「社会教育法」(1949)が中心法規であり、そのほかに「図書館法」(1950)、「博物館法」(1951)、「青年学級振興法」(1953)、「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」(1990)などがある。
(4)教育行政に関するもの(省略)
(5)教育財政に関するもの(省略)
(6)教職員に関するもの(省略)
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2 教育法制と図書館
(1)教育基本法第12条
 個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
 2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。
(2)社会教育行政と図書館
 社会教育のための、教育を目的とした条件整備は主として社会教育行政として行われており、自治体では教育委員会が担当している。担当課は社会教育課とするところもあるが、生涯学習課を名乗るところも多い。
 社会教育行政が行う代表的なサービスには、図書館、公民館、博物館、青少年教育施設、女性教育会館等の設置・運営、学級講座、講演会等の開催、教材資料の作成・配布等がある(山本恒夫・浅井経子・渋谷英章偏『生涯学習論』文憲堂、2007)。
 社会教育行政の法的根拠には「社会教育法」がある。この法律で社会教育とは、「学校教育法」に基づき、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む)をいう」(第2条)。また、社会教育行政の任務は、「すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自らの実際生活に即する文化的教養を高めるような環境を醸成する」(第3条)ことにある。
(3)社会教育施設と社会教育機関
 公民館・図書館・博物館等は、社会教育施設として扱われることが多い。一方、「社会教育法」や「教育行政の組織及び運営に関する法律」においては、これらは教育機関として位置づけられている。機関は、必ずしも施設を伴うものでなく、事業が主体となるものである。通常は、施設と機関は同一視できないが、社会教育施設と社会教育機関は重ねて考えられることが多い。
 戦後の社会教育機関としては、公民館、図書館、博物館、青年の家(現在の青少年交流の家)、少年自然の家(現在の青少年自然の家)等社会教育施設が代表的なものとみなされてきた。社会教育を進める上において、主催事業もさることながら、自主的な団体の教育活動に施設設備の供用が重要であることが意識されてきたのである(上杉孝實『生涯学習・社会教育の歴史的展開―日英比較の視座から─』松籟社、2011. )。
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3 「新しい公共」と図書館機能の拡張
(1)市民の社会的責任の自覚と社会参加
 近年、個人としての市民にとどまらず、NPOやNGOなどの国家と個人の中間に位置づく非政府、非営利の組織をも市民としてとらえられるようになり、さらに営利企業であっても社会貢献活動を行う場合には「企業市民」として市民社会を構成すると考えられつつある。・・・公共性は国家や政府の施策に求められるだけでなく、これまでとは異なった次元において、すなわち市民の社会的責任の自覚と社会参加という、市民の意識と行動というレベルでの公共性も考えられるようになっている (山本恒夫他、前掲書)。
 このような「新しい公共」が求められる背景には、世界的なグローバリゼーションの進展、国内的には、相互扶助を基調とする地縁的なつながりの衰退、人々の規範意識の低下や家庭における教育力の低下、また、地域における人のつながりや連帯感、支えあいの意識が希薄化し、個々人の孤立化が進んでいることがあげられる。
 第6期中央教育審議会生涯学習分科会が報告した「議論の整理」(平成25年1月)では、今後の社会教育行政の方向性について、人づくりや地域づくりにおいては「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」、すなわち、「信頼関係で築かれた社会的ネットワーク」構築の重要性が指摘されている。
(2)市民とともに歩む図書館
 社会教育機関(社会教育施設)である図書館、公
民館、博物館、青少年施設等には、市民にとって
もっとも身近な学びの場や集いの場としてのこれま
での役割をさらに深化させることによる、まさに
「新しい公共」を生み出す拠点としての機能が期待
されるところである。
 とりわけ図書館についていえば、「絵本の読み聞
かせ」や「巡回図書館」の支援など、本を媒介とす
る図書館ボランティア活動がソーシャルキャピタル
の一層の充実につながることは確かである。これか
らの図書館は、こうした社会資源との協働による
コミュニティづくりと人づくりを柔軟に行う社会教
育機関(施設)として、また、学校図書館を支援す
る力強い存在として、さらに市民一人ひとりの生涯
学習を支える拠点施設として益々充実していくこと
が期待されている。
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講演会終了後に感想をお聞きしました
 大切で有意義なお話を聞かせて頂きありがとうございました。
 よかった。大きく社会教育の点から話されていてよかった。
 社会全般にかかわる話であった。基本的なことを理解することができた。
 ”図書館のこれから“を考えるうえで、今日の講演は非常に勉強になりました。どういう法律の基でつくられた施設であるかを市民、図書館員は、しっかり知っておくべきだと思いました。
 図書館の法的位置付けについて、わかりやすく説明していただけました。教育委員会の独立性の大切さがよく分かりました。時の政治に流されない独立性・継続性を忘れない!!
 明解な説明で、内容がよくわかりやすかった。学問や法律は、大衆化することでより分かりやすくなるということを実感しました。専門家は、さまざまな市民のどんな問いにもはっきり説明できるものなのだと思いました。お話ありがとうございました。
 分かり易い講演で、勉強させていただきました。ありがとうございました。教育機関として図書館をとらえるということを強調され、憲法にまでさかのぼって話をされたことに感銘を受けました。
 若干の私見を申し上げると、公教育・社会教育は、人間の生涯にわたる発達を保障するものと考えます。教育委員会制度についてのお話には賛同しますが、教育への政治権力の介入を阻止する(教育の政治的中立の擁護)ことの大切さを今、痛感しています。また「新しい公共」は、反対することはありませんが、行政が「新しい公共」を下請けのように使うのは反対です。NPOやNGOを支援する行政であってほしいと思います。「教育と文化の基盤」論、おおいに賛同です。
 本編でも貴重なお話をいただきありがとうございました。教育とは、という部分も含み、人材育成、たしかに大切だと思います。少しでも良い図書館に戻せますよう頑張ります。
「公教育を担う機関としての図書館」というテーマでしたので大津市にはもっと図書館の支援と位置付けをしっかりしてほしい。

 @学校図書館を支援することで教育と教育現場を支え、
 A近年は、シニア(特に男性)の行き場としての福祉面での支援、

加えて、公共図書館を重視してほしい。
 公教育・社会教育の中での図書館の位置づけ、役割がわかっていませんでした。これがよくわかりました。図書館のあり方を考える上で、このことを理解しておくことがまず基本で大切だと思います。
 大変分かり易く、内容もよく理解できた。
 公教育の中で、行政がしっかりとしていなければいけないこと。公立図書館も行政の一環である。本日の話は、日本国憲法にふれながら基本的な内容から導入され、とても大事な事であることを改めて思いました。
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