1.「市民のための図書館」の誕生
瀬田に県立図書館独立館が建設されるに当たって
1979年、図書館振興対策委員会「県立図書館の役割について」検討開始
6人の外部委員の講演は、すべて市町村図書館の役割を内容とした。
「県立図書館の役割」は「市町村図書館を完全にバックアップすること」
当時の市町村図書館設置状況は全国最下位 「知の銀河系」参照
2.市町村図書館の整備に向けて
1980年3月図書館振興対策委員会「市町村図書館の振興策」を提言
(1)図書館建設費の補助
・建築面積は図書館法の最低基準330u以上
・館長は司書であること
・建設にあたって計画を策定すること
(2)移動図書車に対しての補助
(3)図書購入費補助 望ましい基準(案)
[人口1000人当たり125冊、最低2000冊を毎年購入すること]を達成した場合、図書購入費の2分の1を補助
(4)図書館整備に当たって、県立図書館が援助をする
(5)図書館振興研修会を実施すること
(6)図書館職員研修会を実施すること
1981年 県の市町村図書館振興策
(1)図書館建設費補助
・建築面積は330u以上とする
・館長は司書資格を有すること
(2)図書購入費補助 望ましい基準(案)を達成した場合
開館後3年間 購入費の3分の1
その後の改訂で下記の通り、10年間図書購入費補助が続いた
開館後4〜 5 年 購入費の4分の1
開館後6〜10年 購入費の5分の1
1991年 改訂
(1)図書館建設費補助 建築面積
600u以上であること
(2)開館時図書購入費補助金(新設)
20,000冊以上を購入した場合1000万円を限度として補助する
1998年 改訂
(1)図書館建設費補助制度の廃止、個別に対応する
(2)移動図書館車購入費補助制度の廃止
(3)図書購入費補助金 6年目以降の補助を廃止
3.制度を確立するために〜市町村教育長、市町村長の対応
マッコルビン「図書館は需要があるところに供給が生まれたのではなく、供給が需要を作った」
4.成功の要因
@最下位レベルからの出発
読書の大切さ、それを支える図書館の大切さを信じる3人の知事
A専門家の尊重
B県立図書館のアドバイス
C先行の市町立図書館の支援 八日市の例
D県立図書館が市町村図書館を完全にバックアップする
5.現状と課題
図書資料費の減少、利用の減少、職員数の減少、非正規職員の増加
「知の銀河系」参照
参考:
「知の銀河系4 21世紀の図書館ー新任図書館長研修の記録」1999年 図書館情報大学
「知の銀河系2 多様な図書館」2004年 日本図書館協会
「次世代への贈りものー滋賀の文化政策
1970年代から21世紀」2008年 上原恵美 サンライズ出版